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ゆりゆりぐさ

要するにブログだな。

「七つの人形の恋物語」を読んで

今回は、私が念願叶ってやっと読むことができた、ずっと読みたかったとある小説について書いてみたいと思います。

ポール・ギャリコという名前をご存じの方がどれくらいいるか、私にはちょっと見当がつきません。実際私も、ここ最近まで知りませんでしたから。。。

実は私がこの小説を知ったきっかけは、谷山浩子さんのエッセイだったのです。

主人公は、お金も仕事も全てを失った孤独な少女ムーシュ。川に身投げしようと思った矢先に出会った、キャプテン・コック一座の不思議な人形たちの舞台に魅せられて、彼らと共に旅に出ることになります……。

 

この小説で印象的だったのは何といっても、座長キャプテン・コック(本名:ミシェル・ペエロ)と彼が操る個性的な人形たちのギャップでしょうか。

キャプテン・コックは悪魔のような人物です。誰かを愛することをおおよそ知らないような冷酷な男で、事あるごとにムーシュを様々な酷い目に合わせるのです。

ところが、彼の操る7つの人形たちはとっても個性的で、なおかつどこか愛嬌たっぷりにムーシュに語りかけ、彼女をとりこにしていくのです。不思議なことにムーシュがキャプテン・コックに酷い扱いを受ければ受けるほど、人形たちはなお一層彼女を心配し気遣いいたわるのです。

ポールはそれを小説の中で、人形舞台が始まればミシェルは消えて人形しか存在しなくなる、と表現しています。

どうしてこんなことが起こるのでしょうか。

谷山さんはエッセイの中で、何かしら創作や表現をする人間としてはある種当然のことだと語りました。何かを作り出すというのはつまり、自分の一部を取り出して、そこに光を当てることなのだと。

キャプテン・コックだって、生まれながらに冷酷な存在だったわけではありませんでした。誰かに大切にされることを知らず孤独の中で育ったせいで、感情を押し殺して生きていくしかなかったのです。

それでもなおキャプテン・コックの中には、人間らしい心が残されていた。そんな彼の過去と今の心に形を与えられたのが、7つの人形たちなのです。

 

思い返すと私だってそうです。

私がうごくメモ帳3Dで描くマンガ『希望の風サティ』にも、人形の代わりにたくさんのキャラクター達が登場しますが……

正直に申して、作者のゆりら自身はサティほどしっかりしていないし、ミラのように感情を率直にぶちまけるなんて出来っこないんです(^^;)

でも、出来ないだけで、本当はそうでありたいんだと思います。

サティのように、皆から愛されるしっかり者になりたい。

ミラのように、いつでも素直に胸の内を伝えたい。

それ以外にもシェリーやゴーシュ君、ココルちゃんやガンダルフィア様、時には名前のないモブキャラクターも…?

私の紡ぐ物語に登場する人たちは皆みんな、私の大切な一部なんです。きっと。

だから、もし私が「サティに登場するキャラクターで、一番あなたに似ているのは誰?」と尋ねられても、即答は出来ないしその時々で変わっていくことでしょう。

 

人間の心の不思議がたくさん詰まった、ファンタジックで美しい愛の物語。

機会があれば是非、皆様にも読んでいただきたいものであります。