ゆりゆりぐさ

要するにブログだな。

谷山浩子さん「真夜中の図書館」を読んで

秋もすっかり深まって参りましたね。

秋といえば色々ありますが、今回は読書の秋と銘打ちまして、私の愛読書を1冊紹介させていただきます。

真夜中の図書館

真夜中の図書館

 

私の大好きなシンガーソングライター・谷山浩子さんが、アートの通信教育講座・講談社フェーマススクールズの会報誌に連載していたエッセイを本にまとめたものです。

古今東西の名作を、本やら漫画やら歌やらゲームやらジャンルを限らずに幅広く取り上げ、それを通してご自身の創作やものの感じ方についてあれこれ語られています。

ちょうど私が講座を受講していた頃にずっと連載していたので、載る度にわくわくしていたものでした。谷山さんのファンタジックな世界が好きなので、ご自身がそれまでに触れてきた作品達から何を受け取りどう感じていらっしゃるのか、一般的な名作案内とは一味も二味も違うそれらのお話を、毎回とても面白く読ませてもらっていました。

そんな珠玉のお話がたくさん詰まったこの本は、自分にとって「心の宝石箱」とでもお呼びしたい1冊です。

特に心に残っているお話を2編、抜粋して紹介してみたいと思います。

 

幸福になれる心の在り方 ―アンデルセン『人魚姫』

人魚のお姫様が人間の王子に恋をし、大きな犠牲を払って人間になったものの、恋叶わず最後は泡になって消え、その魂は神様に祝福され天に昇っていくという有名な童話ですね。

私自身も小学生の時、この物語に感銘をうけて図工の時間に作った版画の題材にしたほど、心惹かれた童話の1つです。

しかし谷山さんは若い頃、この物語を読んでやりきれない気持ちでいっぱいになったそうです。こんなものは何の慰めにもならない。自分だったら王子に全てを分からせて、泣いて謝らせたい、と怒りさえ覚えたというのです。

そんな当時を振り返りながら、谷山さんは次のように語っています。

確かにこれはひどい話です。

でも、人生の中で理不尽な不幸を押しつけられた時、相手を責める怒りや悲しみの心にずっと支配され続けるとしたら、その小さく縮こまった心が傷つけるのは、他者ではなく自分自身でしょう。

どんなに理不尽でも、押しつけられた不幸から抜け出して幸福になるためには、自分の縮こまった心を自分自身で大きく広げていくしかないのです。

この言葉は、私の人生観や創作観に大きな影響を与えてきた、そしてこれからも与え続けるような気がします。

誰かのせいにしない。恨むこと、憎しむことを止めて、感謝する。相手の幸せを心から願い続ける。それがきっと、心を押し広げ、強く清らかに生きるということ。それを成し遂げたから人魚の魂は最後、神様に祝福されたのでしょうか。

私たちが出来たならきっと、この世界はたちどころに色鮮やかな楽園のように感じられるのかもしれません。自分も他人も不幸せにしない、そんな生き方のできる自分でありたいと思いました。

世界なんていう物は、案外自分次第なのかもしれないのでしょうね。。。

 

私は世界が好きな「淋しい子ども」 ―みんなのうた『雨の遊園地』

雨降りの遊園地に女の子が一人、傘の中ですずめとお話している……という情景を歌った、みんなのうた1962年の放送曲です。

谷山さんは数あるみんなのうたの曲の中でもこの歌が特にお好きなのだそうで、みんなのうたのラジオ特番に出演された時にこの曲の紹介を聞いて「大好きでした!」と声を弾ませていました。

決して明るく楽しい歌とは言えないながら、淋しさとともにどこか温かさを感じさせるこの歌。雨降りの風景を「灰色」とかではなく「ねずみ色」と表現するのが、なんだか懐かしく感じられます。そういえばお絵描きに使っていたクレヨンやらクレパスにも「ねずみ色」と書いてありました。

雨好きの人の多くは、子どもの頃から雨好きだったのではありませんか。

それはつまり、淋しさをたっぷりと知っていた子どもだった……(中略)人よりも余計に孤独と向き合うことの多い子どもだったということなのでしょう。

そういう人は、絵を描いたり、お話を作ったり、自然に何かを作るようになります。

淋しい子どもは(淋しい大人とは違って)世界が大好きだから。

そしてたぶん、淋しい子どもは、年齢が大人になっても、やっぱり淋しい子どもです。

この話を読んだ私はつい「これは私の話だ!」と思ってしまいました。

晴れの日も良いけど雨の日の方がなんとなく好きで、なかなか友達が作れなくて、気がつくといつも何かを描いたり作ったりしていて、心の中は自分を慕ってくれる誰かへの思いでいっぱいで、世界が好きな、大人の姿をした子どものような自分。

ああ、自分はこの話で語られている「淋しい子ども」そのものなんだな、と思わずにいられませんでした。

そんな自分が、この歌を嫌いになるわけがないな、と改めて思います。

 

この他にも本当にたくさんの素敵なお話が、きらきら輝いて本の中で待っています。

谷山さんの世界に興味がある人、何かしら創作活動をしている人、自分の中の子どもの自分と上手く付き合いたい人などなど。是非ご一読を。

私のように「これは自分の話だ」と思えるエッセイ、あるいは名作との出会いがあるかもしれませんね♪